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脂質異常症

脂質異常症(高脂血症)の管理は、動脈硬化予防・心血管イベントのリスク低減を目的として、生活習慣改善と薬物療法を組み合わせて行います。

以下日本のガイドラインなどで一般的に推奨されるポイントをまとめてみました。

脂質異常症の管理ポイント

1.治療目標(LDL-Cを中心に管理)
治療目標は動脈硬化性疾患のリスクで異なります。
・高リスク(すでに冠動脈、脳梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症と診断された方)
LDL-C <70mg/dl
・中リスク LDL-C<100mg/dl
・低リスク LDL-C<120mg/dl

2.生活習慣改善(薬物療法と並列で重要)
🔹食事療法
・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を控え、魚(EPA/DHA)、野菜・果物・食物繊維を増やしましょ。
・アルコール過剰摂取を避けましょ(TG上昇の主因)。

🔹運動療法
・有酸素運動:週150分以上(例:30分×週5回)を目安に行いましょ。
・LDL低下・HDL上昇に有効だと言われてます。
・内臓脂肪減少→インスリン抵抗性改善にも寄与します。

🔹体重管理
・BMI <25(できれば22前後)
・5〜10%の減量でも脂質改善効果あります。

🔹禁煙
・HDL上昇・血管内皮機能改善します。

3.薬物療法
🔹スタチン系 (第一選択です)
・LDL-Cを強力に低下します。
・心筋梗塞・脳卒中の一次・二次予防で最もエビデンスが強いです。
(例:アトルバスタチン、ロスバスタチンなどストロングスタチン系)

🔹エゼチミブ
・スタチンで不十分な場合に併用します。
・LDLをさらに 15–20% 低下効果を認めます。

🔹PCSK9阻害薬(皮下注射)
・家族性高コレステロール血症に適応があります。
・スタチンをMax量投与でも効果不十分の方に使用します。

🔹フィブラード(中性脂肪高値に有効)
・TG>200–300 mg/dL以上の方に
・ただしスタチンとの併用で横紋筋融解のリスクがありますので、定期的血液、尿検査が必要です。


🔹EPA製剤
TG低下・心血管イベント減少に寄与します(例:イコサペント酸)。

4. 評価とフォローアップ
薬物開始後 4–12 週で脂質をチェックし、適宜薬調整を行います。
・脂質のコントロールができたら 3–6ヶ月ごとのフォローが目安です。

5. 二次性脂質異常症の除外
・以下の疾患が原因のこともあるため、必要に応じて採血や評価を行います。
・薬剤(ステロイド、利尿薬、β遮断薬など)
・甲状腺機能低下症
・ネフローゼ症候群
・糖尿病(特にTG高値)
・肥満・脂肪肝

まとめ
脂質異常症の管理は

①リスク評価 → ②生活習慣改善 → ③必要に応じて薬物療法 → ④定期フォロー

という流れが基本です。