循環器内科

慢性心不全

慢性心不全とは

心不全とは心臓のポンプとしての機能が悪くなった結果、体が必要とする十分な血液を心臓が送り出すことができず、息切れや体のむくみなどの症状がおこる病気です。

慢性心不全とは?

日本は世界でもトップを走る超高齢化社会であり、高齢心不全患者さまが大幅に増加する「心不全のパンデミック」時代の到来が予想されます。

「心不全パンデミック」に備え、日常生活において心不全を早期発見と治療、及び再発防止が大切です。

「むくみ」 「息切れ」 「だるい」 「夜眠れない」の症状が出るときは、早めに循環器内科専門外来を受診しましょう。

引用:Shimokawa H,et al.Eur J Heart Fail 2015;17:884-892.

慢性心不全はどんな症状が出る?

こんな症状はありませんか?以下の症状がある方は我慢せず、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 胸がドキドキする(動悸)
  • 食欲がない
  • 足がむくむ
  • 体がだるい、疲れやすい
  • 息が苦しい
  • 夜眠れない
  • 1週間に体重が2kg増えた
  • 急に血圧が上がる

こんな人は慢性心不全に要注意!

心筋梗塞や狭心症など虚血性心疾患があったり、弁膜症があったり、不整脈があったり、全ての心臓病は心不全の原因となります。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病、喫煙、貧血、感染症、運動不足、過労、ストレスも心不全を起こしやすい原因となります。

  • 心疾患のある方
  • 弁膜症の方
  • 喫煙習慣がある方
  • ストレスの多い方

このような症状を持っている方は、自分が心不全の予備群であることを自覚し、定期的に専門外来を受診し、早期診断・治療を受けるようにしましょう。

慢性心不全の検査の流れ

心不全の診断は、以下の流れで進めていきます。

  1. 1血液検査

    BUN, Creで腎うっ血、腎機能低下の状態、AST,ALT, γ-GTPで肝うっ血の状態、BNPで体に水が溜まりすぎてないか、トロポニンI、CK、CK-MBで心臓の筋肉が壊れてないか、他、HbA1c,LDL-C, TCなど心不全の危険因子の有無を確認します。

  2. 2心電図検査

    不整脈、高血圧症、虚血性心疾患が隠れてないか確認します。

  3. 3胸部レントゲン検査

    心臓の大きさ、水が肺に溜まってないか、大動脈瘤がないかを確認します。

  4. 4心エコー検査

    心臓の動き、弁膜症、心臓の中に血栓がないか、心肥大や心筋の筋肉の異常がないかを確認します。

  5. 524時間心電図検査

    不整脈状態を確認します。

  6. 6ABI検査

    動脈硬化の状態を確認します。

  7. 7冠動脈CT検査

    心臓を栄養する血管が細くなってないかを確認します。

  8. 8心臓MRI検査

    心臓の動き、大きさ、心臓弁膜症、心臓の筋肉の異常がないかを確認します。

  9. 9心臓カテーテル検査

    心臓に水が溜まりすぎてないか、弁の異常はないか、心臓を栄養する血管が細くなってないかを確認します。

慢性心不全の治療

生活習慣改善

禁煙、塩分制限、適宜運動、食生活改善の改善を図り、心臓への負担を減らします。

薬による治療

  • 利尿剤

    体に溜まっている水分を出して体のむくみを良くする薬

  • 心臓を保護する薬

    心臓を休ませ、ストレスを減らす薬

  • 抗不整脈薬

    不整脈の発作を抑える薬

  • 降圧薬

    血圧を下げる薬

  • その他

    コレステロールの治療、糖尿病の治療、腎臓保護薬など

心臓カテーテル治療

入院治療が必要ですので、治療が必要と判断した患者さまは関連病院の筑波大学附属病院、つくばメディカルセンター病院へ紹介します。

外科的治療

弁膜症、大動脈瘤の患者さまは状況によって手術が必要です。

心臓リハビリテーション

心臓に過負担にならないよう、患者さまの状況に合わせて医師による診察と運動処方に合わせて、心電図モニターリングしながら心臓リハビリテーション指導士、理学療法士の立会の元で運動を行います。