大動脈解離は、大動脈の内層が裂けることで血液が内層に入り込んで分離し、血流の異常を引き起こす疾患です。この状態は非常に危険で、早期に治療しないと命に関わることがあります。背部痛は、大動脈解離の典型的な症状の一つとして現れることがあります。

高血圧症が大動脈解離のリスクを高める理由
・血管壁の負担: 高血圧により血液が血管壁に強く押し付けられるため、大動脈壁にストレスがかかり、血管内壁の弾力性が失われやすくなります。
・動脈硬化: 長期的な高血圧は動脈硬化を促進し、血管の内壁が硬くなり、大動脈の解離が起こりやすくなります。
・解離の進行を促進: 高血圧により、大動脈の解離が進行するスピードが速くなることがあるため、早期の診断と治療が重要です。

症状
大動脈解離が発生すると、血流が異常に流れるため、激しい痛みが発生することがあります。特に背部に痛みが現れることが多く、痛みは急激で鋭いことが特徴です。背中の痛みは通常、解離が発生した場所によって異なりますが、一般的に以下の特徴が見られます。
・急性の強い痛み: 痛みが突然発症し、急激に強くなることがあります。
・痛みの位置: 背部の上部（肩甲骨の間あたり）や、背中の下部（腰部）の痛みが報告されることがあります。
・放散痛: 痛みが背中だけでなく、胸部や腹部、肩、首に広がることもあります。
その他の症状
・呼吸困難: 呼吸が苦しくなることがあります。
・胸痛: 胸部に激しい痛みを感じることもあります。
・意識障害: 重篤な場合、脳への血流が悪くなり、意識障害やめまいが生じることがあります。
・脈拍の異常: 脈が不規則または弱くなることがあります。

診断
大動脈解離が疑われる場合、迅速な診断と治療が必要です。
診断にはCTスキャンやMRI、超音波検査が使用されることが一般的です。

治療
解離が発生した場所や状態によって異なりますが、以下のアプローチがあります。
・外科的治療: 解離が進行している場合、手術によって解離部分を修復する必要があることがあります。
・薬物治療: 高血圧の管理や、血圧を下げる薬（降圧薬）を使用することが一般的です。

高血圧症は大動脈解離の重要なリスク因子であり、解離が進行すると急激で鋭い背部痛を引き起こすことがあります。高血圧の管理が大動脈解離の予防に重要であり、疑わしい症状があれば早急に医療機関を受診することが大切です。