右脚ブロックとブルガダ症候群
健康診断で右脚ブロック、もしくはブルガダ症候群と診断された方がいらしゃると思います。
いずれも心臓伝導系に関する異常であり、不整脈に関連する病態です。それぞれの特徴と関係性について説明します。
病態により突然死となるケースもありますので、診断された方は不整脈専門外来への受診をお勧めします。
1.右脚ブロック(RBBB)
右脚ブロックは心臓の右脚における伝導路が遅延または遮断される病態です。通常、心臓の電気信号は心房から房室結節、そしれ左右の脚(左脚と右脚)を通って心室に伝わります。しかし、右脚ブロックがあると右脚を通る電気信号が正常に伝わらず、右心室が遅れて収縮します。
・症状と治療:多くの場合は無症状で治療の必要がないことが多いです。
2.ブルガダ(Brugada)症候群
ブルガダ症候群は、遺伝性の不整脈症候群で、心室細動を引き起こすことにより突然死のリスクを高める病態です。特に東南アジア地域で多く見られ、夜間の突然死が関連しています。心電図で特徴的なST上昇が見られますが、右脚ブロックの心電図との鑑別が必要となります。
・原因:主にナトリウムチャネルの異常を引き起こす遺伝子変異が関与しています。
・症状;通常は無症状ですが、発作が起きると心室細動による突然死に繋がります。
・診断:心電図で特徴的なST上昇パターンを呈します。家族歴が診断に重要です。
・治療:予防的な治療として植え込み型除細動器(ICD)の装着が推奨されることがあります。
3.右脚ブロックとブルガダ症候群の関係
右脚ブロックとブルガダ症候群は、心電図上で類似したパターンを示すことがあるため、両者の鑑別が重要です。
ブルガダ症候群の診断では、右脚ブロック様の心電図変化が見られることがあり、単なく右脚ブロックと誤診されることがあります。しかし、ブルガダ症候群は突然死のリスクが高いため、特に症状や家族歴がある場合は慎重な評価が求められます。
まとめ
・右脚ブロック:心臓の右脚の電動異常。多くは無症状で治療不要。
・ブルガダ症候群:遺伝性の不整脈症候群で突然死のリスクがある。診断と治療が必要
両者の違いを理解し、正確な診断と適切な管理が求められます。